平成22年3月3日

介護分野の人材確保について

Q 県は、高齢者、認知症高齢者などの介護に関わる支援策を、積極的に行っているが、少子化の影響や低い処遇の介護職場が敬遠されたことにより、介護福祉士などの資格取得希望者が減少していると報告されている。また、国でも、介護報酬の増額改定を行い、施設指導やキャリアアップ研修等による労働改善などにより、介護分野における人材確保に努めている。

しかし、社会福祉専門の有効求人倍率は、全国的にも、この雇用情勢の厳しい時期に、1倍を超えている。特に介護福祉士やヘルパーの人手不足は依然として際立っている。

大変な仕事であるがゆえに離職者も多く、また、介護福祉士などの資格取得希望者が減少しているという状況が続いていると聞いている。

まず、特に資格取得に2年間を要する介護福祉士の不足の状況をどう認識し、今後、介護福祉士養成に関しての考えを伺いたい。

A(和田社会部長)平成20年度の実態調査によると、介護職員の離職率は16%という高い数字になっている。県内養成校の定員充足率は、厳しい雇用情勢や資格志向の高まりと共に年々増加してきているが、昨年4月で58%という状況である。

介護職員の充足率については、県内施設の60%以上が人手不足と回答しており、施設整備等、今後のニーズを考えると、今後の人材の確保・養成はより一層大きな課題である。県としては働きながら資格を取得する「介護雇用プラン事業」、養成校等が高校を訪問して行う「進路相談事業」への助成、養成校の学生に対する奨学資金貸与等を通じて人材確保について努めていく。

また、商工労働部では、離転職者を対象にした21年度の民間委託訓練事業において、介護福祉士の2年コースも新設されたが、その実績と22年度に向け、介護福祉士コースに係る定員を増加させる予定があるのか?商工労働部長に伺いたい。

A(黒田商工部長)厳しい雇用情勢の中での離職者に対する民間活用訓練委託事業については、平成21年度から2年間のコースを設けている。21年度は、40名の募集定員に37名受講。22年度は、募集定員を95名に増やす予定。厳しい雇用情勢の中で、介護福祉士の資格が取得できる訓練機会を確保し、担い手不足の介護現場への就職に結びつくよう取り組んで行く。

自らの都合でなく経済不況の影響により離職した人が、福祉施設等で訓練を受けながら学べる制度は、離職した人も、また介護現場にとっても大いに歓迎する制度である。

その成果を期待している。この制度を活用し資格取得した後、確実に本県にある介護施設現場で、一定以上勤務するというような条件をつけることができないものか?要望する。

豪雪地域の環境整備について

Q 今年は暖冬で雪も少ないのではと思っていたが、大晦日から元日にかけて飯水岳北地域では70~80cmの降雪があった。家族揃ってのお歳とりもままならず、除雪作業にご奮闘いただいた北信建設事務所はじめ関係各位に心より感謝申し上げる。

また、1月14日~16日にかけて北部県境方面は大雪となり、栄村では90~1mの降雪があり、国道117号、下高井郡野沢温泉村虫生にある市川橋から下水内郡栄村森の宮野原橋までの間に大型車が立ち往生し、40~50台の車両が前進することができず、9時30分~15時15分まで全面通行止めとなり、除雪作業がなされた。しかし、15日深夜になっても雪は止まず、再び数台が市川橋付近で動けなくなり、16日2時15分~10時20分まで、またもや全面通行止めとなった。

今年の雪の特徴は、局地的なまさに「ゲリラ豪雪」とでも呼ぶべき降り方であり、また地域によっては平成18年豪雪に匹敵するのではとの見方をする方もいる。

そのような中、1月18日、入江建設部長が北部県境方面を視察されたが、先ずは率直なご感想をお伺いしたい。

A(入江建設部長)1月18日に除雪状況を視察するため、北信建設事務所管内を回った。2月上旬に秋山郷へ泊まりで行った時、夜中に大雪警報が発令され急いで戻ったが、道路に積雪もあり地吹雪が起こり真っ白な中不安な気持ちで車を走らせていた。黄色い除雪車と出会ったとき、その除雪車が神様に見えたというのが、偽らざる気持ちである。

道路脇に高く積まれた雪や懸命に自宅周辺を除雪する住民の姿見たときに、豪雪地で生活する県民の大変さ、ご苦労の一端を知ることができ、また、地元建設業者が、本当に地域の為に頑張っていることを充分認識し、改めて冬季の道路交通確保対策や克雪対策の必要性、重要性を実感した。

今回思いもよらぬ大雪にて、混乱の中での現場対応は大変難しいものがあったかとは思うが、建設業者による除雪体制、地元警察との連携、また、平成18年豪雪の教訓はどのように活かされ、今回どのような課題が残されたのか、建設部長に伺いたい。

A(入江建設部長)1月14日~16日にかけての対応であるが、国道117号に配備した17台の除雪車両に加え、隣接工区からの応援により一刻も早い交通確保に努めた。

しかし、チェーンを装着しない大型車両がスリップし立ち往生したことから渋滞が発生し、除雪車も巻き込まれて思うように除雪が行えない状況になった。建設事務所職員と地元警察署が連携し、通行止め区間の起終点での車両の進入規制や渋滞車両の誘導、チェーン装着の指導を行うと共に建設業者は立ち往生した車の牽引等を行い早期の交通確保に努めた。

平成18年豪雪時は除雪した雪の滞雪場所に苦慮した経験から、平時から滞雪場所を確保しており、この点に関しては教訓を活かした。今回の対応に関しては、建設事務所と除雪業者、除雪作業車、相互の情報伝達が遅れるという課題あった。今後は情報の共有化を目指し、無線の活用等連絡体制の充実に取り組む。

以前から道路情報板などを通じチェーン装着や安全運転を呼びかけてきたが、さらに雪道を安全に走行するための情報を迅速に提供する「雪道情報システム」の整備を進めていく。

Q 新潟県中魚沼郡津南町芦ケ崎にある、大倉スノーシェッドの内部は道路幅が6mと狭く、大型車同士のすれ違いが困難で、渋滞が発生し、多くのドライバーはこの箇所があるが故に国道117号をあえて避けている。これを解消するため、大倉トンネルが平成16年から掘削工事中であり、23年頃の完成予定である。

国道117号の交通量は飯山市静間地籍で1日およそ17,000台、うち13%の2,200台が大型車である。この大倉トンネルが開通すれば、大型車の交通量が大幅に増えることが予想される。今回のような大雪による全面通行止めの事態が、今後とも予想される中で、国道117号の道路整備をどのようにしていくのか伺いたい。

まず、県道箕作飯山線の栄村箕作~野沢温泉村明石間の未開通区間の改良について、この区間は、人が通ることが出来ない状態であり、生活道路として、また、国道117号有事の際の迂回路線としての必要性もあり、開通は地元住民の半世紀にわたる悲願である。付近には特別養護老人ホームもあり、周辺の道路整備は緊急の課題である。過去に幾つもの案が示されたが、県としてどのような計画を推進するお考えか。

A(入江建設部長)・県道箕作飯山線は、千曲川右岸の栄村箕作地区から野沢温泉村明石間約2kmは通行不能となっている。国道117号の緊急時における代替路線としての役割を担う路線として、地域の皆様から改良を要望されている。両地区の間は、千曲川に山地が迫る厳しい条件下にあり、県でも従来からトンネル等の大規模構造物を含むいくつかのルートを検討してきた。検討の結果、整備効果や将来の維持管理等を考慮し、千曲川の対岸、平滝地区を通るルートが最適と判断し、昨年9月に地元説明を行い地域の了解をいただいた。現在、橋梁予定箇所の地質調査を終えたところで、今後は測量設計等早期整備にむけ進めていく。

現在、飯山市伍位野、野沢温泉村虫生の2箇所に無散水融雪道路が設置されている。

これ以外にも冬季間、危険と思われる急勾配・急カーブの箇所が数箇所あるが、新設、或いは延伸の予定はあるのか?

A(入江建設部長)無散水消雪施設については、維持管理費が通常の除雪作業と比べて約5倍と高いことから、縦断勾配が6%以上の急坂区間や交差点、民家が密集する箇所等に設置。道路部分では、県内20kmを設置。国道117号に設置の予定は無いが、除雪、融雪剤散布などにより冬季交通の確保の充実を図っていく。

平成22年度運用開始を目指している冬季間の道路状況を把握するためのサービス事業、「地域活力基盤創造交付金事業(雪寒・防雪)」の事業内容と進捗状況について伺いたい。また、今回2度にわたり全面通行止めとなった事態を踏まえ、カメラの設置箇所を増やすような考えはあるのか?合わせて、この情報サービスシステムの存在を一般の方々にどのように知らしめるのか、その方策についても伺いたい。

A(入江建設部長)国道117号の飯山市から新潟県境まで36kmまでの区間において、急坂区間等冬季の交通障害の発生が懸念される箇所にカメラを設置し、道路状況の映像や気象情報をパソコン、携帯電話を介して道路利用者に提供するもの。現在、システムの設計中で、平成22年度の降雪期までに施設整備を行い、情報提供開始できるよう取り組んでいる。カメラの設置箇所については、限られた予算の中、今回の交通障害の状況等を踏まえ、効果的、効率的に設置していきたい。

一般の方への周知方法については、県のホームページ、高速道路のサービスエリア、国道・県道の道の駅等で広報を行い、地域住民・県内外の方に情報が有効に活用されるよう努めていく。

また、今回の県下各地の大雪により、道路除雪費の追加も必要となってくるが、どのような補正対応をお考えか、伺いたい。

A(入江建設部長)県中南部では平年並み、または平年以下と降雪は少なく、北部山沿い、中野飯山地域では5年平均の降雪量の130%と多くなっている。30億の除雪関連予算が42億3800万円と膨らんでいる。今議会で県単独費12億3800万円の補正提出している。

平成18年豪雪以来4年ぶりの大雪で、3mを超す積雪地域もある。大分暖かい日が続き雪も消えてきたが、春先の残雪による農作業の遅れへの対応は、どのようにお考えか、農政部長に伺いたい。

A(萩原農政部長)残雪対策については、消雪剤の購入に補助しているが、飯山・小谷の観測点で3/20に概ね1mを超えた場合に発動する。2月後半から雪解けが進んでいるので、県としては今後の状況を見守りながら、市町村・農業団体と連携し対応していく。

治安を守る警察官の皆さんは、昼夜を分かたずどのような状況下でも、有事の際には速やかに現場に直行する必要がある。それ故に豪雪地域の警察車両は、四輪駆動車が望ましく、優先的に配置されているものと思われるが、現状と今後の配置方針について警察本部長に伺いたい。

A(小林警察本部長)2月末現在、県警の保有車両台数は1069台。内、4輪駆動車は621台。4輪駆動車は県内の山間地・降雪の多い地域に優先的に配置している。飯山、中野、大町署への配置は、4輪駆動車の88%となっている。パトカーや捜査車両は全て4輪駆動車となっている。今後とも、地域の特性を踏まえ配置していく。

それぞれ答弁をいただいたが、いずれも豪雪地域の住民にとっては必要な事業である。「豪雪」は「災害」であるという基本認識に立ち、地域住民の安心安全のために格段のご配慮を賜りたく、切にお願いする。

大いなる自然の恵みである雪は、美味しいお米を作る農業用水の源であり、畑の土壌をきれいに洗浄する役割も果たしている。年末に近づくにつれスキー場関係者は、空を見上げ一日も早い初雪を待ちわび、建設業にとって除雪作業は大変辛い仕事だが、冬季間の貴重な収入源である。

また、雪国というハンディを逆手に取り、そこで生まれ育った子供達は「スキー王国長野」の伝統を守り、国体はもちろん、様々な世界大会をはじめ、今やオリンピックにも通用する選手に成長している。

一方、残念ながら雪により今年は県内で多くの死傷者が出た。

大町市では幼い子供が水路に流され、飯山市においては齢80にならんとする高齢者が、独り家のまわりの雪片付けの最中に家庭用除雪機に巻き込まれ、尊い生命を落とす事故を目の当たりにする時、雪国に生きる厳しさを改めて痛感し、何ともやりきれない思いになる。

雪を克服しつつ、その雪を利用し、如何に雪と共に生きていくか?

これは、雪国に住む人々にとって、永遠の課題である。

県におかれては、このような豪雪地域に住む人々の厳しい生活実態を斟酌した上で、更なる環境整備に向けあらゆる施策を展開していただくようお願い申し上げる。