平成26年6月24日
県政ながの 宮本衡司
- 障がい者への就労支援について
- 長野県地球温暖化対策条例について
◎ 障がい者への就労支援について
Q 県におかれては「長野翔和学園の誘致・開校」「就労移行機能強化事業」「自立支援協議会運営事業」等々、障がい者に対する様々な事業展開をしていただいており、感謝を申し上げる。
去る4月22日に松本市島立の県有地に、就労継続支援A型の施設(株)ハートフル松本FVPが開所された。この企業は、障がい者と雇用契約を結び、県の最低賃金を保証する事業所であり、雇用機会の拡大を図るという意味でも大いに期待する。
先日、私も視察させていただいたが、社員13名、知的障がいをお持ちの方9名、健常者4名、うち重度障がいの方が6名とのことで、皆さんが集中して取り組まれるトレーの分別作業の速さ、正確さに本当に驚いた。
この事業所は、「障がいの程度が中程度の方、重度の方でも30時間働いて、社会保険加入して、経済的自立が出来るように」という方針のもと、電車に乗り、最寄駅から徒歩で通勤されている。食品トレーの製造・販売を手掛ける広島県の企業の提案に基づき、地域で業務を請け負う事業所を設立したとのことだが、これまでの経緯と今後の展望について伺いたい。
A(健康福祉部長)
開所の経緯については、きっかけは、食品トレー等の製造・販売の国内最大手で、障がい者の就労支援にも全国的に実績がある企業会らの提案であった。松本地域のスパー等から回収する省済み食品トレーやペットボトルの選別、圧縮業務を当該企業から就労継続支援A型事業所に委託したいというものであった。この提案を受け、平成23年度から関係部局での検討や地域での説明会を行う中で、遊休県有地の貸付を含めた企画提案を募集する公募型プロポザールにより、設置運営する法人を「(株)ハートフル松本FVP」に決定し、施設整備を経て本年4月に開所した。企業からの提案を受け、遊休県有地を活用したA型事業所の創設は、県内初の事例となったが、障がい者の働く場として、雇用契約により最低賃金を保障するA型事業所の充実を図ることは重要な課題である。今回の事例をひとつのモデルとして、今後も同様の取り組みを拡げていきたい。
また、「長野県障がい者プラン2012」での福祉施設から一般就労への移行目標値が、平成26年230人となっているが、直近値や進捗状況、見通しについて伺いたい。
A(健康福祉部長)
「長野県障害者プラン2012」の計画初年度である平成24年度一般就労への移行者数は144人で、それ以前と比べ増加傾向にあるほか、現在集計中の25年度もさらに大幅な増加が見込まれることから、平成26年度の目標230人に対し、概ね順調に推移しているものと認識している。また、企業での実習を支援する「OJT(On-the-job-training)による就労促進事業」は、昨年度実施した30社中20社で一般就労に結びつくなど大きな成果を上げており、今年度はさらに対象企業を増やす予定。こした取組みを通じ、目標が達成できるよう努力していく。
6月17日、議会棟にて今回より初公開となった、平成26年度第1回長野県自立支援協議会を傍聴させていただいたが、各専門部会の活動計画や圏域の課題に対する進捗状況等について、大変熱心な各委員の皆様により協議がなされ、大いに勉強になった。その中で、平成27年3月31日までに各市町村が、障がい福祉サービスを利用する障がい者ごとにしなければならない「サービス等利用計画書」の作成進捗率は、トップが上小圏域で68.7%、低いところでは上伊那圏域の27.6%と、圏域によって大きな差のあることが報告された。この進捗率に大きな差がある主たる要因としてどのような事が考えられるのか、また、進捗率アップにむけ、どのように市町村に対して支援していくおつもりか。
A(健康福祉部長)
県全体の進捗状況は、平成26年3月末現在、計画作成が必要な対象者16,421人に対し、7,104人の計画が作成済みで、進捗率は43.3%となっている。全国の進捗率31.5%と比べて、進んではいるものの必ずしも十分とは言えない状況である。圏域の進捗率の差については、作成業務を担う相談支援専門員の人数や経験に違いがあることに加え、進捗状況の管理やその利用方法に差があることなどが、その要因と考えている。
計画の作成に当たっては、市町村が障がい者総合支援センター等と連携し、対象者ごとに作成する時期や事業所を定めた進行管理を徹底し、進捗状況を常に確認していくことが有効な手段である。県としては、こうした取組みを広く関係者に周知するためのシンポジウムの開催や、相談支援専門員のスキルアップのための実践的な少人数規模の研修などを通じ、市町村や関係機関との連携を強化しながら、本年度末までに対象者全員の計画作成が完了するよう取り組んでいく。
Q「サービス等利用計画書」の作成は、利用者本位のサービスをどのように提供するか、利用者さんの「思い」や「願い」、そして将来の一般就労にむけた可能性等も探る意義あるものと思う。「国は期限を延ばす考えはない」ようだが、平成27年3月までに作成しないと、4月以降は障がい福祉サービスが受けられなくなる可能性がある。県におかれては、期限までに完了すべく、市町村に対し更なる努力をするよう促していただきたいと要望する。
また、農業就労チャレンジ事業にもあるように、福祉部門と農業部門が連携し、障がい者の雇用を推進する取り組みが全国的に広がりつつある。
平成26年度は様々な発達障がいに対する支援事業が拡大されており、就労支援についても農業分野での就労促進等々、色々な角度からの支援を図るための予算が準備されている。障がいをもった方々への就労支援については、多様な適性という面からみても、単一部局で対応できるものではなく、健康福祉部、産業労働部、県民文化部をはじめ農政部や林務部等、部局横断的に取り組まなければならないものと考えるが、将来にむけた就労支援の方向性について、現在検討しているものも含め伺う。
A(知事)
「誰にでも居場所と出番がある信州」を掲げて取り組んでいる中で、障がい者のみなさまの働く場の拡大、そして希望や適性を踏まえた個別の支援は重要なテーマ。
「しあわせ信州創造プラン」の「雇用・社会参加プロジェクト」では、平成23年度全国17位であった障がい者の就職率を、平成29年度には全国上位の水準まで高めることを目標に、部局横断的に取組んでいるところ。特に、昨年から企業に対すり雇用の働きかけの強化や企業職場実習の充実に加え、障がいのある方を理解し応援する県民運動「あいサポート運動」をスタート。さらに、本年度は、健康福祉部、産業労働部、農政部の3部が協働実施する「農業就労チャレンジ事業」をスタート。農業分野における障がい者の働く場の拡大のため、農業と福祉の連携モデルケースづくりに着手している。ワイナリーや果樹園、野菜栽培農家などにおける短期の農業就労が具体化しつつある。
こうした取組みに加え、多様な就労機会の確保と自立の促進を目的とした障がい者優先調達法が平成25年4月に施行されたことに伴い、県では、調達方針を策定し、県のすべての機関で発注の年間目標を定めるなど、障がい者就労施設からの物品サービスの優先的な調達に全庁的に取組んでいる。障がいのある方が、夢や希望をもって、いききと働き、自立した生活を送ることができるよう、さらに。関係部局の連携を強化し、取組んでいく。
Q ハートフル松本では障がい者が社会保険・厚生年金加入、年次有給休暇、交通費支給、制服無償貸与と健常者と同等の条件のもと就労している。
労働としては決して軽いものではないが、「労働の対価が本人の意欲に結びつき、自立へとつながれば」と仰っていた。また、親御さん達は、「毎日元気に職場に出かけ、無事に家に帰ってくることが何よりもうれしい」とのこと。
このような企業は、どうしても小規模となり、多くの社員を抱えることが比較的困難と思われる。加えて、通勤にかかる時間や距離、職業適性等の課題により県内各地域に数多くあることが望ましいと考える。ついては、県として障がい者の自立に向け、より一層のご支援をお願いしたい。
◎長野県地球温暖化対策条例について
地球温暖化のもたらす影響は、気温上昇による北極・南極の氷河の溶解とこの結果として起こる海面上昇、干ばつや大雨といった異常気象の多発、そして、深刻な水不足と食糧危機というようなことが言われている。
社会科で習ったコメ作りの北限は北海道旭川だったが、今では北海道はおいしいお米の産地と言われるようになった。また、局地的な豪雨や竜巻、大雪等、いずれも今まで経験してこなかったようなことが、最近多く起こるようになってきた。地球温暖化の原因は二酸化炭素など温暖化ガスの急増と言われており、地球規模での取り組みが必要であるし、減少を図る努力をすることは、将来為にも各々ができる範囲内で直ちに実施すべきことである。
長野県においては平成18年3月に地球温暖化対策条例を制定し、対策を推進してきたところである。平成25年3月に、温暖化の影響が県内で顕在化しつつあり、加えて東日本大震災及び福島第一原子力発電所事故に伴い、国及び長野県のエネルギーをめぐる情勢が大きく変化していることにより、条例の一部改正が行われた。改正を効果あるものにするために、県はどのような体制を整えて臨んでいるのか。
A(環境部長)
東日本大震災及び福島第一原子力発電所事故に伴うエネルギー情勢の変化を背景に、平成24年度末に長野県地球温暖化対策条例見直したところ。この条例の大きな改正点は、事業活動や建築物の温暖化対策に係る新たな制度を導入するもので、全国でも先進的な条例と評価されている。
事業者を対象とした「事業活動温暖化対策計画書制度」は、従前の計画と報告の提出に加え、エネルギー管理士等を配置し、専門的知見を有するスタッフが助言を行う体制とした。また、円滑な制度の運用に努めるため、個別相談窓口を設置するとともに、専門チームによるきめ細かな助言や現地調査を行い、事業者の温暖化対策を促進していく。
建築物を対象とした「環境エネルギー性能検討制度」と「自然エネルギー導入検討制度」は、建物を新築する際、建築主に断熱性能や自然エネルギー設備導入の検討を義務付けた。この制度は、今年度から建築行政を所管する建設部に移管し、制度の円滑な実施を通じて建築物の温暖化対策を促進していく。本条例に基づく新制度に加え、地球温暖化対策の実効性を高めるため、「しあわせ信州創造プラン」において環境。エネルギー自立創造プロジェクトを全庁的に部局横断で進め、省エネルギー化と自然エネルギーの普及を促進していく。
改正条例の20条において、「建築物環境エネルギー性能検討制度」が新たに設けられた。これは、建物を建てるときには、長野県の指定する指標に基づき、建物の省エネ等を必ず検討することが義務付けられるものである。
また、21条の「自然エネルギー導入検討制度」でも、県のマニュアルに基づき、自然エネルギー設備の導入を必ず検討することを義務付けられている。但し、いずれの制度も300㎡未満の小規模な建物については2年間の周知期間を経て、平成27年4月1日から検討対象となるとされている。
第7条において「地球温暖化対策は、県、市町村、事業者、県民等が協働して取り組まなければならない。」とされており、そのためには、何よりも当該者に対する十分な周知が必要不可欠である。
そして、地球温暖化防止に役立つ実効性のある条例とするためには、今現在、住宅を建設する予定のない県民の皆様にも制度の周知は必要と思うが如何か。また、設計・建築事業者へは具体的な周知とともに、講習会のようなものは行われ、修了証は発行されるのか。地域によっては、いわゆる一人親方が多く、講習会等を実施してもなかなか受講できないのではないかと懸念している。これらの方々への周知はどのように考えているのか。
A(建設部長)
改正による新しい制度を実効性のあるものとするためには、広く県民の皆様にご理解いただくことが肝要と考えている。県民の皆様へはホームページや県の広報番組等の活用により、理解と協力をお願いしてきた。今年度も様々な機会を通じて周知していく。
設計・建築事業者の皆様への周知は、建築物の環境エネルギー性能を評価する手法を習得していただく講習会を昨年度は18回開催し、修了証を交付した。しかし、議員ご指摘のように、いわゆる一人親方の皆様の受講は1割程度に留まっている状況であり、県としてもこれらの方々への周知が課題と考えている。本年度も県内各地で22回の講習会を開催することとしており、この講習会の開催にあたっては、小規模な事業者の皆様が多く所属している建築関係団体の意見を伺い、一人親方の皆様の参加しやすい開催方法を検討していく。講習会での説明や質疑の内容をを県のホームページに掲載するなど、講習会に参加いただけない方への情報提供に努め、県内の設計・建築事業者の皆様への周知を徹底していく。
また、「検討した」ということの確認は、どのように行うのか。
A(建設部長)
床面積が2,000㎡以上の建築物については、本年7月1日から、検討したことの届出を義務付けするが、床面積2,000m2未満の建築物については、義務付けはしていない。条例による義務付けのない床面積2,000㎡未満の建築物については、同じく7月1日から建築確認申請が必要なものはその際に、建築確認申請が不要なものは建築工事届の届出の際に建築主にアンケート調査への協力をお願いする。このアンケートに記入いただくことで建築主に対して必要な情報が提供されるとともに、その回答の内容から建築物のエネルギー性能や自然エネルギーの導入についての適切な判断がされているかどうかの確認をしたいと考えている。
届出の内容やアンケートの結果を分析し、制度運用の参考とするほか、県民の皆様への情報提供にも活用し、建築主が環境エネルギー性能や自然エネルギー導入の検討を適切に行える環境整備に努めていく。
Q 戸建て建築の 4 割超は中小工務店といわれており、国交省 平成 24年度の全国戸建て住宅建築実績によると、在来工法によるものは74.49%。 そのうち、 59.1%は年間建築戸数が 50 戸未満の中小工務店が供給する住宅であり、これをさらに分類すれば、29.4%が 10 戸未満の小規模工務店といわれている。 住宅の省エネ化を加速するためには、中小工務店の積極的な取り組みが不可欠といえると思うが、失礼ながら、まだまだ、省エネ技術が十分に浸透していないと思われる。
中小工務店からは、構造上、断熱・気密化が難しい伝統工法の建物や、風通しや開放性を重視する建物が作りにくくなるとする、反発や懸念があるといわれており、今後の状況によっては、死活問題にもなってくるという話も耳にする。
条例を全く理解していない建築主がA社とB社に住宅建設の見積書を依頼したとする。A社は条例の検討義務を忠実に守り、それに見合った積算をする。B社は不勉強で条例の存在を知らず、通常の部材での見積書を作った場合、当然A社の見積もり額はB社より高額となる。そこで何も知らない建築主が、2社の見積書を単純に比較すれば、当然安いB社に工事を発注してしまうことになり、A社の立場からすれば「正直者が馬鹿をみる」ことにはならないか。
もとより、地球温暖化防止のためにすべての県民がこれに協力することに異論はない。しかし、建築主にとってみれば、ここに来て消費税がアップとなり、如何に温暖化防止のためとはいえ、更なる経済的な負担が多く発生するとなると、住宅建設に二の足を踏むことになるのではと思う。県民の皆様に喜んでご協力をいただくには、長野県経済が上向き、それに伴い個人所得が幾ばくかでも増えることが望ましいことであり、そういう意味では県の経済対策は極めて重要となる。
いずれにしても、県民への周知徹底が大きなカギとなるので、より一層のご配慮をいただくよう要望する。
自然エネルギーは一般的に風力や地熱、太陽熱など発電に使える資源で、再生可能エネルギーとも称されている。二酸化炭素を排出しないエネルギーで大いに活用すべきものとは思うが、個人の住宅への導入となると、現時点では、バイオマス燃料が最も活用しやすいペレットや薪を燃料とするストーブが考えられる。県はペレットストーブの普及に努めており、間伐材を利用することから、林業の6次産業化という点からも更に推進すべきと考えている。また、ペレットストーブは薪ストーブと比べると、使用時の火力調整や燃料供給が容易で、煙もほとんど出ないため、都市部での利用にも向くというメリットがある。
そうした点で、先程の長野県地球温暖化対策条例において県民の生活に密着した住宅等の建築物への自然エネルギー利用を促進する「自然エネルギー導入検討制度」が新たに盛り込まれたことは意味のあるものと考えており、この制度が促進されることを期待している。しかしながら、戸建て住宅の設備全般を見ると、暖房のほかにも給湯、そして北部豪雪地帯では消雪等、化石燃料に依存している住宅設備は多々ある。暖房や給湯の熱源に、チップ・ペレット・薪等を積極的に活用するような信州型住宅システムづくりを、県として様々な角度から研究されるよう提案する。「自然エネルギー検討制度」の促進に資する支援策等の取り組みや連携はどのようになっているか。
A(環境部長)
本制度は、建築という専門的な知見が必要なことから、環境部だけでなく、林務部や建設部とともに、構築及び導入を進めてきた。長野県建築士会や長野県建築事務所協会、長野県工務店協会などの関係団体とも意見交換を重ねてきた。その中で、建築主に情報提供を行う建築事業者の知見を高めることが、制度を円滑に実施する上で重要になることから、林務部や建設部とともに「自然エネルギー導入検討マニュアル」を昨年度に作成し、建築事業者を対象に説明会を開催した。条例施行の初年度となる本年度からは、より効果的な執行を図るため、本制度を建設部に移管し、建築行政と一体的に運用することとしたが、環境部としても制度周知に建設部とともに取組んでいく。本制度のほか、建築物への自然エネルギー導入については、環境部も含めた各部で支援策を講じていることから、地域の課題や要望を的確に把握し、林務部や建設部と密に連携し、促進していく。
4月28日 栄村北野天満温泉に木質チップボイラーが設置され、山本環境部長にもお出でいただき、火入れ式が行われた。これは長野県グリーンニューディール基金事業を活用した栄村の循環型森林エネルギー計画のひとつとして設置されたもので、間伐材のチップを燃料とすることで地域資源の活用と雇用創出が期待される事業である。これまでの稼働状況はたいへん順調で、化石燃料の削減と燃料コスト低減に効果が出ており、加えて、木材生産とチップ製造を担当する栄村森林組合も新たに職員を採用するなど、雇用促進の面でも効果があらわれている。
栄村では、木材チップの活用をさらに進めることを検討していると聞いているが、そのためには、燃料となる木材チップの安定供給と品質の確保が不可欠である。その実現に向けて県の協力は欠かせないと考えるが、この点について伺いたい。
A(林務部長)
栄村のチップボイラーによる熱利用事業は、村内の森林資源をチップ化し、地元で活用するモデル的な取組みとして期待されている。県では、木材チップの安定供給に向けて、村が今年度行うチップセンターの施設整備に対して支援していく。木材チップの形状や水分管理等、品質確保についても重要な課題であることから、今年度、未利用、木材のチップ化に関する実証事業を進めながら、情報提供や技術協力を行う等、ソフト面でも支援していく。
Q 昨年10月1日には「改正省エネ基準」が施行され、国土交通省・経済産業省・環境省が設置する「低炭素社会に向けた住まいと住まい方推進会議」は平成32年までにすべての新築住宅を対象に新基準への適合の義務付けを決定したと聞く。今後、一歩進んだ省エネ性能が求められることとなる。今回の条例改正は国の動きに先駆けるものと考える。ライフサイクル全体を通じたCO2削減を目指すためには省エネ型の機器が必須となり、「自然エネルギー導入検討制度」のもとでの検討ということになるのだと思う。自然エネルギーの利用促進は、人口減少が続く農山村集落の維持や活性化に大きな可能性を秘めていると考えており、特にバイオマスエネルギーのように地元にある資源を活かし利用することで、新たな仕事・雇用が生まれ、さらにお金が循環することになり、単にエネルギーコストの「高い」「安い」だけでない大きな波及効果が期待でる。
衰退著しい小規模集落において、共同で原料を地元で確保し、それを熱源とし、暖房や給湯設備を享受できるような、自然エネルギーの導入により農山村の活性化につなげるモデル作りの支援策を、ぜひ知事にもお考えいただきたいと思うが、いかがか。
A(知事)
農山村の活性化に向け、自然エネルギーを導入していく、私も全く同じ思いである。地域にあるエネルギーをぜひ活用していきたい。
長野県は森林に囲まれ、急峻な地形を有することから、木質バイオマスや水力、温泉熱などを活用した自然エネルギーのポテンシャルが高い県である。こうしたことを活かした事業に対して、長野県グリーンニューディール基金事業や地域主導型自然エネルギー創出支援事業などにより支援している。グリーンニューディール基金事業では。栄村北野天満温泉への木質チップボイラーの設置をはじめ、大滝村の福祉センターへの小水力発電による電力供給、朝日村の保育園への地中熱利用設備の導入等、地域拠点となる施設への導入支援を通じて農山村の活性化を図ってきた。併せて、モデル的な事業を紹介する「1村1自然エネルギープロジェクト」を展開し、地域における自然エネルギー事業が全県に普及するよう取組んできた。
本日、環境省からグリーンニューディール基金事業に5億円の追加配分の内示があったところであり、事業の積極的な推進を通じて防災機能の強化を含め、農山村集落の健全な発展に資する更なる取組みを推進していきたい。