◎ 栄村の復興について
質問に先立ち、栄村の復旧・復興について述べさせていただきたい。
去る3月12日の地震により、早いもので既に8か月が経過した。
この間、阿部知事を先頭に県職員の皆さんはじめ議員各位には、様々な形で、栄村の復旧・復興に向け迅速、かつ、きめ細やかな支援をしていただいてきたことに対し、栄村村民に代わって、心より感謝申し上げる。
4月早々に県が策定された「復興支援方針」に基づき、しっかり予算措置をしていただき、更には、今定例会にも、10億円の栄村復興基金を創設するための予算案及び条例案が提出されており、改めて感謝申し上げる。
この基金は、東日本大震災からの復興のための取り崩し型の基金として、全国9県に特別交付税で措置されるものだが、長野県がまさに一番早く対応されたとのことであり、阿部知事の英断を高く評価する。
さて、国においては、本格的な復興予算となる第3次補正予算が成立するなど、被災地支援も着実に強化されてきており、これにより震災復興が加速することを期待するところである。
一方、栄村においては、国の災害復旧事業が進みつつあり、また、村の最重点課題である村営住宅についても、県の御協力により来年の秋頃までの入居に向けて方向性も見えてきた。いよいよ、復旧から復興へ確実にシフトしていく段階となっている。
村では、震災復興計画の策定に向け、現在、31地区での住民懇談会を開催しているところである。もとより、この計画は、村が主体となって策定するものだが、ぜひ県にも積極的に参画していただき、引き続き住んでいたいと思える栄村、また、被災前よりもよくなったと感じられる栄村となるよう、引き続きの御支援を、阿部知事はじめ県職員のみなさんにお願いするとともに、議員各位におかれては、今回の予算案、条例案に御賛同いただくようお願いを申し上げる。
栄村は昭和20年2月12日に7m85cmの積雪を記録した日本有数の豪雪地帯である。これから本格的な冬に入り、災害復旧で道路の段差等が除雪作業に支障をきたすことは無いのか?また、水田や用水路の復旧は来春の作付けに間に合うのか?山地災害の現場状況はどうなっているのか?等、降雪期に向けどのような対策をとっているのか、工事の進捗と今後の見通しについて建設・農政・林務部長に伺いたい。
A(建設部長)地震災害のうち、道路や橋梁災害では78箇所の災害査定を受けた。復旧工事については8箇所が完了、42箇所が施工中、5箇所は施工に向け準備中。残り23箇所は冬期閉鎖区間のため来春までに発注する。降雪期に向かい除雪の妨げにならないように段差の解消工事等を行っている。国道117号等の幹線道路については11月末までに。その他の道路についても12月上旬までに完了予定。こういった工事とともにバリケードの撤去なども行い、除雪作業は円滑に行われるものと考えている。現在発注している箇所の本格復旧については、来年の雪解け後の工事となる。
(農政部長)栄村では9月の下旬までに入札を終了し、復旧工事を進めている。進捗状況は、復旧工事の必要な水田848枚中46%にあたる387枚の復旧が完了している。本格的な降雪の前には全体の7割が完了するものと見込んでいる。残る3割については、雪解け後速やかに工事を再開し、来年の作付けに間に合わせる予定。水路・農道の本復旧は来年度になるが、仮復旧により作付けまでには全域で通水・通行が可能になる予定。復旧状況については、現在集落懇談会で村から農家へ説明中。早期の復旧に向け、今後も村を支援していく。
(林務部長)緊急に治山対策を必要とする4ヵ所については、災害関連復旧治山事業に取組んでいる。特に大規模な山腹崩壊により河道が埋塞した中条川については、埋塞部は開削が完了し、下流への土砂流出の勢いを弱める工事についても年内に完成する予定。降雪期に向けて雪崩や融雪による災害発生への警戒対策として積雪量・融雪量を継続的に観測し、気象状況を注視する態勢を年内に整備し、住民・工事現場の安全に万全を期す。今後の恒久工事については住民の皆さんへ説明していく。
◎ 森林づくり県民税について
今回発生した長野県北部地震からも「災害に強い森林づくり」は重要であり、森林は、土砂災害や洪水を防止し、水や空気を育み、地球温暖化防止に貢献するなど多面的な機能を有する「緑の社会資本」であり、すべての県民がその恩恵を享受している。そこで、森林の多面的な機能を持続的に発揮させ、健全な姿で次の世代に引き継いでいくため、平成20年度から森林づくり県民税が導入された。
森林づくり県民税は、今年度で4年目となり、来年度は最終年度で見直しの時期となっている。そこで、県民、企業、市町村、市町村議会に対して行ったアンケート調査の結果が先日公表され、県民や企業の約8割が森林づくり県民税の継続に賛成している結果が得られ、健全な森林づくりの必要性を県民は十分、認識している。また、森林づくり県民税を活用した木育推進事業などを実施した地元からも大変、好評を得ていることから、是非、次期森林づくり県民税を継続し、しっかりと森林づくりを進めるべきだと思う。
そこで、アンケート結果を踏まえ、森林づくり県民税の継続について知事のご所見を伺いたい。
A(知事)先般行った県民アンケート調査の結果については、今後その内容を踏まえた検討が必要と考えている。市長会・町村会を始めとして様々な団体から継続の要望が出ている。長野県における森林の重要性は認識している。現在森林づくり県民会議においてこれまでの成果の検証、継続した場合の新たな使途等について検討を行っている段階。県民の皆様から税金という形で負担してもらっているものなので、森林づくり県民会議、地方税制研究会での検討も踏まえて、継続するとなると遅くとも来年9月定例会に条例案を出す形になるので、そういったスケジュールも念頭において、時期を失することの無いように判断していきたい。
◎ 自衛官の県採用について
この件については、西沢議員より6月定例会で、9月定例会の危機管理委員会においては服部議員が質問をされており、阿部知事からは前向きに検討をしたいとの答弁をいただいている。
平成18年豪雪の際、当時の田中知事と自衛隊の派遣をめぐり激しくやりあった私としましても、自衛隊との連携をもっともっと強化すべきと言うことについては大賛成である。
私の地元の飯山市、栄村も豪雪地帯であり、また、千曲川を始めとする河川の水害の恐怖に苛まれることを宿命として背負っている地域である。
近年、火山の噴火、地震、それに伴う液状化現象、局地的な大雨、河川の氾濫、山地災害等々、以前には考えられなかったような大きな災害が頻繁に発生している。
このような災害の発生した時には住民同士の助け合い、自治体同士の協力などが重要だが、平時よりどのように対応するのかを考え、発生時にはまず住民の生命・財産を守るための必要な行動を素早く、的確に行うことが大切と考える。その中でも特に自衛隊との連携は重要と考えており、この点については阿部知事にも異論はないものと思う。
他県の状況も参考にしながら検討を進めることとなろうと思うが、災害は何時、何処で、どのような形で発生するか分からない。が、いつか発生する事だけは確かである。 このような大きなリスクに対しては、「前向きに検討」するだけでなく、結論を出す時期を決めたうえで検討する位の覚悟が必要と思う。 現在の検討の進行状況と、今後いつまでに結論を出すお考えかを知事にお伺いする。
A(知事)いざ大規模災害というときには、知事として自衛隊の派遣要請をする立場にある。そういった意味からも自衛隊との信頼関係は大変重要であると考えている。災害時には自衛隊との連絡調整という事務が出てくる。また、平常時においても地域防災計画の見直し、各種訓練の実施、研修会の開催等、自衛官としてのスキル、専門的知識を活かす場面が災害対策という観点から様々あると考える。他県の例も参考にして任用形態のあり方について、早急に調整していきたい。相手方があることだが、来年度からの配置し、体制の充実強化を図っていきたい。
◎ 飯山新校の準備状況について
Q このことについては、平成20年12月及び平成23年2月定例会において、県の考え方をお聞きしている。しかし、3月11日に発生した東日本大震災、それに続く、長野県北部地震、牛伏寺断層を震源とする地震等の発生に伴う財政支出という新たな、かつ急を要する課題が発生した。また、円高やヨーロッパの金融不安など不透明な情勢の中、長野県財政は、一層厳しさを増してきているということは十分に承知を致している。
このような中、長野県教育委員会は教育施設の耐震化を平成27年度までに実施し、一方で第1期の高校再編計画を進めるとのお考えであるが、財政支出を伴う事業が目白押しであり、並大抵の努力ではとても進められないのではないかと懸念している。
特に飯山にあっては、県下のトップを切って3校を1校にするという統合の推進に協力をしてきた。
飯山新校の校舎建設工事については、今年の4月から順調に進行していると聞いている。
当初城北グラウンドに建設する案から、飯山北高校現地に建設する案への変更に伴い、教室や体育施設の関係から平成26年度実施の二次統合は年次統合方式で進められ、生徒の学習環境を確保するという観点から平成26年度・27年度は2キャンパス方式をとらざるを得なくなった。加えて、校舎の敷地内で除却工事と建設工事が行われることに伴い、現飯山北高生の学習環境への悪影響が懸念されたが、同窓会による教室へのエアコン設置という自助努力により、その影響は最小限にとどめられている。
また、旧飯山市立第二中学校の校舎・体育館・城北グラウンド・市営プール・武道館などを代替施設として飯山市から借用使用することによって、何とか現飯山北高校の体育施設の確保をしている。
このような状況の中で、地元としては、県教委の当初の計画通り、完全統合が実現する平成28年の4月には城北グラウンドや体育施設を含んだすべての教育環境が整った状態で、新校が出発できることを心から待ち望んでいる。
現在の県の財政状況の中であっても飯山新校にかかる事業実施予定は当初の計画通りに遅れることなく進められ、飯山北高校校舎の除却工事から、新校舎の建設、城北グランドの整備工事までを含め、平成27年12月までに全て完了をさせるという当初計画の通り進めると考えて良いか。
A(教育長)工事は順調に進んでいる。今議会に特別教室棟の工事請負契約に係る事件案を提出している。これらの第1期新校舎の建設工事については、平成25年10月の完成を、更に第2期工事としてスポーツ科学科棟の平成27年11月完成を目指している。
城北グランド等の利用については、現在飯山市及び両校統合準備委員会と整備の時期等について検討中。県財政は厳しい状況にあるが、新校の教育環境の整備・充実は最優先の課題であると認識している。
Q 現飯山高校の跡地利用については、地元飯山市にとっても大きな課題であり、9月定例市議会においても何人かの議員から質問がされている。市長は「飯山高校を取得して中学校として利用することは有力な方法と考えている。現在長野県に譲渡価格について照会をしている。」との趣旨の答弁をされている。
一方、旧飯山市立第二中学校の跡地と城北グラウンドについては、新校の体育施設等を中心に利用する計画だが、その取得については、飯山市側の現飯山高校の取得とセットであろうと考えている。
もし、飯山市が現飯山高校の校地・校舎を中学校として利用するとすれば、現飯山高校の新校舎への引越しの時期・旧飯山市立第二中学校の跡地と城北グラウンドの改修工事の時期・現飯山高校の校舎を中学校として利用するための改修工事の期間・中学校の現飯山高校校舎への引越しの時期等、すべての要素を慎重に調整していかねばならない。
現飯山高校の跡地の利用・飯山市の給食センターを含む旧飯山市立第二中学校の跡地の取得と城北グラウンドの改修・市道の付け替え・県の財政・生徒の教育環境の保障・飯山市の要請をどのように進めていくお考えか。この時期に遭遇することになる中学生・高校生の教育環境を最優先に考えていくことで最良の答えが出るものと考えているが、教育長に伺いたい。
A(教育長)施設整備に関しては、現在飯山市と事務レベルで協議中である。旧飯山市立第二中学校跡地の取得については、現飯山高校の跡地の利用を、様々な条件を考慮しながら協議中。改修工事の時期や期間については、中学生や高校生の教育環境に配慮し、また飯山市の意向を踏まえながら検討していきたい。
本年2月定例会における私の寮に関する質問に対し、山口教育長からは「生徒募集に伴う寮については、その必要性について認識しており、寮を含めた飯山新校の在り方を総合的に検証する中で、既存の施設の有効活用を含め検討したい。」との答弁をいただいている。
平成24年4月には飯山北高校で県下初の探究科の生徒が入学の予定で、現在、県内の学区外から何名かの希望があると聞いている。また、栄村や山ノ内町等の遠隔地から通学する保護者の方からは寮の必要性を以前から要望されている。
一方、全国から募集している体育科は現在でも県外から男女1名ずつの2名、通学できない県内から28名が寮で生活している。
このような環境の中で、体育科は県内外からの応募が可能なことから、平成4年度以降の全国高等学校スキー大会においての優勝回数は男女とも8回、内いわゆるアベック優勝は6回を数えている。
また、数々の冬季オリンピック選手も輩出している他、世界選手権、ワールドカップにも多くの卒業生が代表として参加し、世界のひのき舞台で大活躍しており、このことは長野県のみならず日本冬季スポーツの振興に大いに寄与している表れであり、正に体育科設立の目的を如何なく表しているもので、当時の長野県教育委員会の英断に改めて敬意を表するものある。
先ほど申したように、もし飯山市が現飯山高校の校地・校舎を取得するならば、中学校と現在の女子寮とが隣接することになり、中学校の環境としても、そこに住む女子高校生にとっても問題があろうかと思う。今後女子寮はどのようになるのか、また、男子寮も町中にあり、新幹線開通後は駅前の繁華街に隣接するようになり、このことも一考を要すると思う。
冬季間、飯山では自転車を利用しての長距離移動は不可能であり、親御さんが安心して子供を預けることができる寮の建設が不可欠である。でき得れば、飯山新校の生徒のための寮は校舎付近に建設し、今後とも全国から生徒を集め、その持てる才能を伸ばせる環境を整えるべきと考える。
2月定例会では検討したいとの答弁でありましたが、その後検討はどのような進捗を見ているのでしょうか。
A(教育長)現在、寮の入居状況は男女寮ともに半数以下。統合校との位置関係や、築20年の比較的新しい寮であることを勘案し、既存施設の有効活用を含め総合的に検討をしている。
Q 県教委は、財政的にも厳しい中、第1期の再編計画を進めておられるが、その結果、再編計画の変更や日程の遅れ、あるいはまた、財政面での縮小を求めるような事態になっていることはないか。計画の実施に向けては、先発のものをまず着実に進めることが必要かと思うが、いかがお考えか。
A(教育長)県の財政状況も大変厳しいが、各地区の再編に係る実施計画については計画の変更や遅れ等もなく、概ね順調に進んでいる。高校再編については、地域の皆様の地元高校に寄せる思いに応えるべく、着実に進めていきたい。
今後、中学校卒業者数の減少が更に加速していく。第1期と同様、教育の質を保つために第2期の再編計画も当然必要であると考えるが、財政面での体力が危惧される中、第2期の再編計画についてはどのように考えておられるか?
平成25年以降に第2期の検討を始めるとお聞きしているが、その間にも、希望する自治体があれば、新たな発想で連携を試みたり、村立や市立、あるいは組合立のような形への移管も可能なようにすることもひとつの考えではないかと思う。県教委としての第1期高校再編以降の第2期に向かっての長期展望を教育長にお伺いする
A(教育長)第2期再編計画に向けての長期的な展望については、先ず第1期再編計画を着実に実施していくことが優先課題と考えている。第2期の検討にあたっては、第1期再編計画の検証の上に立ち、高校教育の質の保証を中心に当該地区、県民の幅広い意見を聞きながら進めていくことが必要と考える。
ご提案の新たな形態についても、第2期再編計画を策定する中で研究していく。