平成27年7月1日
長野県自民党県議団 宮本衡司
◎御嶽山の再捜索について
Q 昨年9月の御嶽山噴火災害では、57名の尊い命が失われ、心よりご冥福をお祈り申し上げる。また、未だ6名の方が行方不明となっている。
行方不明者の捜索救助活動については、6月4日に開催された「長野県御嶽山噴火災害対策本部員会議」において、行方不明者の再捜索を実施することが決定され、6月10日に再捜索に向けた調査隊が派遣され、2度目が昨日実施された。これらの調査の結果を危機管理部長に伺う。
A(危機管理部長)再捜索は、調査隊、先遣隊、捜索隊の三段階で実施することを6月4日の災害対策本部員会議で決定した。第1回の調査隊は、6月10日に県警、消防、県等、長野県関係者39名、岐阜県関係者12名が入山し調査を実施。目的としては、昨年の捜索救助活動終了時から火山灰、火山ガス、雪解け、登山道、山小屋等の状況が不明であったことから、それらの状況を把握するために実施したもの。調査結果は、火山灰、噴石等の噴出物だが、多くの場所で概ね昨年の捜索救助活動終了時と大きく変わらない状況であった。火山灰は、当日の状況で全体的に堅めであり、場所によってぬかるんでいる場所もあった。その厚みは、最も深い場所で、二ノ池周辺で約70cm、八丁ダルミで約40cm、剣ヶ峰頂上付近で10~30cmの堆積があった。雪解けの状況は、八丁ダルミから東の斜面にかけて80~150cm程度の残雪が第1回目の調査ではあった。火山ガスは風向きによって変化があるものの、硫化水素、二酸化硫黄とも捜索活動中止判断基準を下回っていた。捜索時に避難施設として使用を予定している山小屋等は、損傷があるものの、一部は一時的な避難施設として使用可能と考えられる。登山道は雪による倒木、木道の流出、火山灰の流入等があるが、通行には支障がない状況であった。昨日、県警、県、地元関係者22名により、2回目の調査隊を派遣し山頂付近の雪解けや山小屋の状況等の補完調査を行ったところである。
また、今後の再捜索に向けた日程や捜索の方法など、現在検討している内容を、災害対策本部長である知事に伺う。
A(知事)去る6月4日開催した災害対策本部によって再捜索の実施を決定した。その際、併せて基本方針として3点決定した。1点目が捜索等に当たっては捜索する隊員の安全確保を大前提にすること、2点目として県警と県内消防を中心に捜索を行う事。3点目としてご家族の想いにっできる限り寄り添った対応を行うということである。
再捜索に向けた手順としては、まずは調査隊の派遣、その後先遣隊を派遣し、捜索隊を派遣していくという三段階で実施していく。
再捜索にあたっては、昨年の捜索救助活動終了後、県警において行方不明者の方々の目撃情報、遺留品の発見場所等を総合的に整理・分析し、足取り等の把握を継続して行ってきている。今回の再捜索は、こうした情報を踏まえて重点的に捜索を行っていきたいと考えている。今後は、昨日第2回の調査をした調査隊の結果報告を受け、具体的な捜索計画を検討するための先遣隊を、7月7日以降概ね1週間の間で、天候をみながら1日ないし2日間派遣する予定である。そのうえで捜索隊は、梅雨明け後の天候が安定するであろう7月下旬から、先遣隊の調査結果を踏まえ、必要な期間捜索を実施していきたいと考えている。捜索は3,000mを超える高地での危険な捜索活動であることから、高い技術や経験が求められる。捜索にあたる県警及び県内消防には最大限の体制を組んでもらうよう要請しており、警察では、昨年も捜索に従事した機動隊員や山岳救助の熟練者等を中心に、県内消防ではレスキュー隊員を中心に編成を検討している。こうした中、県警、県内消防では高地での捜索活動を想定した高地トレーニングを行っている。また、自衛隊については、発災直後ではないため直接の捜索活動に携わっていただくことはできないが、後方支援にご協力いただけないか、相談中である。いずれにしても先ほど申し上げた再捜索の基本方針を踏まえて、隊員の安全確保に留意しつつ、ご家族の気持ちに寄り添いながら、全力で再捜索をしてまいりたい。
ご家族の心中いかばかりか、お察し申し上げると共に、知事におかれては、その思いに寄り添い全力で捜索に当たっていただくようお願いする。
◎雪崩による孤立集落解消のための県道整備について
Q 日本有数の豪雪地栄村の秋山郷は、降雪期、役場と本地区を結ぶ、唯一の道路が国道405号。国道が群馬県側への通行ができないため、ひとたび新潟県側で雪崩などが発生すると秋山地区が孤立集落となる。
半年前、降雪期に入った12月、東京電力の水力発電のための導水路からの漏水によるとされる土石や雪の流出によって、秋山地区と新潟県の津南町の集落を含め約300人がほぼ1日にわたり孤立をした。全国ニュースとなり、東京から現地へ取材に押し寄せるなど、記憶に新しいところ。
その後も、長野県側の秋山地区で3月9日に発生した雪崩により1日程度の孤立、さらにその1ヶ月後、4月3日の県議選告示日には、私が秋山地区に遊説に出かけた際、津南町において倒木混じりの雪が道路を覆い、約1時間程度現地にて足止めに遭った。一瞬、秋山で宿泊することを覚悟したが、たまたま近くの工事現場にあった重機が駆けつけてくれ、事なきを得た。
数えると、4ケ月の内に3回の頻度で孤立状態となった。
平成18年豪雪の際も秋山地区が孤立し、その年の2月議会の一般質問で405号が唯一秋山地区へ通じる道路である現状を改善すべく、当時の原悟志土木部長に一般質問を行い、405号を経由しないルートである五宝木から極野間について「整備計画を早急につくりあげたい」旨の答弁をいただいた。
新潟県津南町を経由せず、栄村役場から秋山地区へ通じる五宝木~極野間の整備の必要性・重要性について、平成18年2月の土木部長答弁を踏まえ、あれから10年にならんとしているが、現在の認識について、また、それ以後実施した県道整備による具体的な整備効果並びに現在の本区間の整備状況について、併せて建設部長に伺う。
A(建設部長)栄村秋山地区への冬期の交通確保という観点から、当地区の道路整備の重要性は十分認識している。極野地区の440mについては、平成18年度から25年度まで道路改築事業を実施し、冬期交通の安全確保に一定の効果が得られたと考えている。現時点で、本路線の未整備区間は、五宝木から極野間の約11kmとなっており、平成18年度に複数のルート案を検討している。いずれの案も多額の建設費が見込まれること、新設道路となるため供用までに年月を要すること、さらに維持管理面の課題があることから、事業化が困難となっている。このため冬期間に秋山郷への唯一のルートとなる国道405号、現道の強化に重点を置き、新潟県で5か所2.9km、長野県でも小赤沢など10か所3.5kmの整備を進めている。
Q 本区間の整備効果については、工事着手を住民が目の当たりにすることにより、新潟県を経由せず村役場へ通年通行できるという、費用対効果ではなく、数値にあらわれない期待に対する心理的効果があったと考える。
この間、栄村では、当時の高橋村長を委員長に、県道秋山郷森宮野原停車場線改良促進委員会を平成18年に発足させ、23年の震災発生後に活動は一時中断したものの、昨年11月に4年ぶりに活動を再開した。村役場から新潟県を経由せず秋山地区へ通年通行できる秋山地区住民数百人の悲願であるこの要望に対しての率直な感想を知事に伺う。
A(知事)過日、栄村の復興の状況等も見せていただいたが、高齢化が進む中で、県としてもしっかり応援していかなければならない施策が多いと痛感している。道路整備についても同様である。秋山郷は大変魅力的な地域であるし、また、災害対応の面からも新潟県を通って行かなければならないというのは、色々な意味でも課題があると感じている。そういう観点で冬期間も安全に通行できるルートをもう1本できないかという、地元の皆様方の思いについては共感する。しかし、その一方で建設にあたっては、多くの費用、年月を要する状況であり、なかなか早期に整備できると申し上げる状況ではない。こうした県道整備は重要な課題と認識しつつ、まずは新潟県と連携して国道405号の整備、強化を図っていきたい。
当地区は、昨年12月22日に認定された「苗場山麓ジオパーク」のおひざ元であり、今後登山者等が増えるものと思われる。住民人口が少ないというだけで道路整備の優先順位が低く扱われては、観光産業の振興にもマイナスである。
当たり前の話だが、課題は本整備区間に限らず推進するための費用を県全体で確保することだと思う。特に、本区間のような大規模な事業については、長野県の補助公共事業枠いわゆる交付金枠の増額が肝要だ。
県民の安全・安心を確保するため、必要とする公共事業を着実に進めていくには、県費負担の観点からも、国庫補助金を有効に活用することが肝要と考える。そこで、道路整備を所管する国土交通省並びに税収などの財源を所管する財務省に対して、知事自身の整備費用確保のこれまでの取り組みの実績並びに今後の具体的な取り組みについて知事に伺う。
A(知事)補助金の確保については、県が必要とする道路事業予算の確保については、再三にわたり国に要望してきている。地域の声、地域の思いをしっかり届けて、ご理解いただくことも大変重要と考えており、太田国土交通大臣あるいは宮下財務副大臣のところにも、今年度予算の編成に向けては直接要請させていただいた。最近では、先月15日に来年度予算にむけて、西沢議長をはじめ県内のいわゆる主要6団体の皆様方と一緒に国土交通大臣を訪ね、道路整備、交通ネットワークの構築に向けて予算確保を強く要請した。また、三遠南信自動車道、中部横断、中部縦貫自動車道の期成同盟会においては、他県の知事あるいは沿線の市町村長と一体になって要請活動を行ってきており、関係国会議員の皆様のご支援、ご協力も頂きながら事業の促進、予算の確保を行ってきている。今後とも、地元の皆様方の声をしっかりと受け止めて、県選出国会議員をはじめ市町村、関係県、関係する皆様方と連携を図りながら、長野県に対して道路予算が最大限確保されるよう、しっかり取り組んでいく。
Q 雪崩による孤立が想定される地区住民にとって、道路は病院へつながる「いのちをつなぐ道」でもある。孤立時のヘリコプターによる生活物資の運搬や急患の搬送は、住民にとって大変ありがたいことだが、天候がひとたび悪化すれば運航できず、陸の孤島になるという現実に変わりはない。
知事におかれては、「しあわせ信州創造プラン」の根幹である住民の安全・安心の基盤整備に対し、しっかりとお取り組みいただき、力強いリーダーシップを発揮されることを期待する。
4年前に発生した長野県北部地震では、1次緊急輸送路である国道117号が被災し、新潟県境より市川橋の間が3日間に渡り全面通行止めとなり、避難活動や物資支援に大変な支障を来した。栄村震災復興計画では、通行止めとなった117号の代替性を確保するため、県道箕作飯山線の通行不能区間を約2kmに渡りバイパスとして整備することとなり、現在全面的に工事に着手をして頂いている。
これが完成すれば、災害時の広域的な安心確保と周辺集落の孤立化を防止でき、絶大な整備効果を発揮することとなり、その昔、千曲川を渡る渡船が唯一の交通手段であった、豪雪地栄村、野沢温泉村にとって半世紀余に渡り要望していた夢が叶う。引き続き豪雪地域の安心・安全確保のため、更なるご努力をお願い申し上げる。
◎県の行政機構のあり方について
Q 去る6月8日付で長野県行政機構審議会会長に現地機関の組織体制を中心とした県の行政機構のあり方について諮問がされた。これを受け、今年度中に5回の開催と、来年度は9月までに必要に応じ開催し、答申を行うという審議日程とお聞きしている。
お役所の組織はとかく縦割りであるとか、硬直的であると言われてきた。しかし、最近のように県民のニーズが多様化し、世界の動きが直接的に県民の生活に影響を及ぼす時代になると、旧来型の組織では対応が出来なくなってきていることは感じている。そのような中、行政組織のあり方の諮問を行い、地方創生のトップランナーとなるための組織作りに取り組む知事の姿勢は評価するものである。
とは言え、諮問を行い、答申を得ることは手段であり、目的ではない。答申をどのように生かし、その結果、どのような効果を上げることが出来るかが目的である。平成25年10月21日の答申に基づき、翌26年4月に本庁部局の組織体制を中心とした組織の見直しを行った。組織改編から1年余しか経ってはいないが、最初に本庁組織の改正の内の「企画振興部門」と「産業労働部門」についての効果はどの様に評価しておられるのか。
A(総務部長)まず、企画振興部への再編は「企画調整機能の強化と地域振興施策の効果的な展開」を目的に行った。現在、「人口定着・確かな暮らし実現総合戦略」の策定が進められているが、地方創生で取り組むべき課題は、県民生活の多岐にわたることから、県の組織が部局横断的に取組むことは重要であるが、加えて市町村との連携・協働が極めて重要と考えている。県と市町村との協議の場や地域戦略会議を通じて県・市町村間の連携の強化が図られている。企画振興部の持つ総合調整機能と地域振興の総合窓口としての機能が有機的に作用し、より効果的な取り組みが進んでいると考えている。
産業労働部の再編は、「産業施策の調整機能の確立」を目的としたもの。現在、同部で進めている「産業イノベーション推進本部」での部局横断的な取り組みにより、健康、観光、食品、ものづくり分野を複合的に組み合わせた「ヘルスケア産業」の創出など、具体的な成果が表れつつあり、着実に進展しているものと評価している。
Q 縦割り組織では解決できない課題が増加していることは事実であり、担当部長制は思った以上に効果を発揮するものだと実感しているが、産業政策監と信州マーケティング戦略担当部長の効果はどの様に評価されておられるのか。
A(総務部長)「産業政策監」は、重要な産業施策について複数の部長間の調整を目的に設置した職である。産業イノベーション推進本部の取組をはじめ、例えばワイン製造における6次産業化への取り組みなど「地域経済の活性化にむけた県の施策について、総合的・横断的な調整や推進に係る取組」を進めている。また、「信州マーケティング戦略担当部長」は信州ブランドを活用したマーケティングの戦略的推進を目的とし、「産業関連部局の所管する県産品について、フェア・商談会等のマーケティング活動を展開」している。具体的には、成約件数1,080件、5億4,602万円の実績をあげている。
これらの職は設置して1年余り。職務を進める上で試行錯誤的な面もあろうかと思うが、今後とも本来の役割を十二分に発揮してもらえるよう総務部としてもサポートしていきたい。
また、前回の答申の中、「本庁組織の改正に当たっての留意点」中の「(4)本庁の組織改正にあわせて議論された事項」、引用すると、「県行政を的確に運営していくためには、本庁組織の改正にあわせて、専門性の高い職種における職員の異動サイクルの長期化など人員の適正配置、地域振興の取組を支援できる人材育成、業務の有効性を高めるなどの内部統制の強化に向けた仕組み、教員の資質向上などについても検討していく必要があるとの意見が出されました。」とある。誠にごもっともであると思うが、このような意見に対して県はどのような対策を講じようとされているのか。
A(総務部長)職員の異動サイクルの長期化については、人事異動方針において、専門性が高い業務等について取り組むこととしている。本年4月の異動においては、異動対象者全体の平均在職年数が昨年の3.2年から3.4年に延びている。地域振興の取組みを支援できる職員の育成については、地域に飛び出し、地域活動を通じて共感力の向上を図ることを目的とした「地域に飛び出す職員支援研修」などにより、地域活動への参加意欲を高め、県民起点で行動する人材の育成を行っている。業務の有効性を高める取組みとしては、従来から行っている「事業改善シート」を活用したPDCAサイクルによる事業点検のほか、今年度からは「しごと改革」として会議の質の向上やわかりやすい資料づくりなどに集中的に取組んでいる。
教員の資質向上については、「信州教育の信頼回復に向けた行動計画」等に基づき、40代の中堅教員を対象に、教員としての使命と誇りを改めて自覚するための「キャリアアップ研修」を開始するなど、教育委員会において様々な取り組みを行っている。
次に、諮問の中に「県の現地機関には地域の抱える様々な課題への主体的かつ総合的な取組や、県土が広く、市町村数や小規模町村が多いという本県の特徴を踏まえた効果的な市町村支援や住民への利便性への配慮がこれまで以上に求められます。」とある。しかし、「その一方で、限られた財源の中で、時代の変化に対応し、必要な機能を発揮するため、現地機関の組織の効率化を図っていくことも重要な課題となっています。」とされている。
効率化の名のもとに、組織を集約し職員数を減らす。今回の現地機関の組織体制を中心とした県の行政機構のあり方の検討が、よもやこのような効率化・合理化のために諮問されたものではないと思うが、その理解でよろしいか。
A(総務部長)県の人口減少は避けられない中で、限られた人員で効率よく県政課題に対応することはもとより当然であるが、今回の検討は、地域の課題に対して現地機関が主体的かつ総合的に取組むことができる課題解決型の組織体制や、効果的な市町村支援及び住民の利便性に配慮された組織体制づくりを主な目的としている。
平成24年3月に「長野県行政・財政改革方針の概要」が出されており、この中で、平成24年度から28年度の5か年において一般行政部門で328名の削減を、教育部門で1,044名の削減を年次別定員適正化計画が示されている。そこで伺うが、現時点ではこの計画通り職員数の削減が行われているのか。
A(総務部長)定員適正化計画は5年間の計画だが、そのうち24年度から26年度までの間に、一般行政部門では132名、教育部門では440名の合計572名を削減する計画となっている。この実績は、一般行政部門では103名、教育部門では458名の合計561名の減となっており、5か年計画の途中経過ではあるが、計画に対して削減数は11名少ない状況となっている。
定員の適正化について、「限られた人員で県政課題に的確に対応し、持続可能な財政運営等を図るため、定員適正化の目標となる計画を定め、事務事業や施設のあり方を大胆に見直すなど、引き続き職員数の削減に取り組みつつ、メリハリのある職員配置に努めます。」と説明をしている。財政の健全化、そして持続可能な財政運営を図ることの大切さは申すまでもない。しかし、このような錦の御旗の下に、最低限必要な職員の数を超えた削減が行われることを懸念するものである。
平成23年4月1日現在の職員数27,293名中、教育部門が18,113名とのこと、職員数の削減のためには約66%を占める教育部門の削減を進めざるを得ないこともありましょう。改革方針の中では職員数の削減に対応するため、「人的資源の有効活用と非常勤職員の有効活用」をうたっており、申しあげるまでもなく、教育は将に人作りである。
子どもの数が減少していることは紛れもない事実だが、困難を抱えた子供たちは年々確実に増えている。古来より教育は国家百年の大計であると言われており、将来の国作りに当たって最も大切なことのひとつと考える。
小・中学校の教員の削減に当たってはこの辺りをどの様にお考えか。
A(教育長)少子化により児童生徒が減少してくるので、それに伴う学級数の減や学校の統廃合の進展により、今後も必要となる教員数は減少していくものと考える。一方、議員ご指摘のとおり学校を取り巻く環境は複雑、困難化し、児童生徒への支援が多様化する中、教員に求められる役割の拡大に対応した教育環境を考えていくことも大変重要な事と考えている。学校における教育環境の充実を図る上では、教員の質の向上と量の充実に努めていくことは当然必要なことではあるが、それのみならず、スクール・カウンセラーやスクール・ソーシャルワーカーなどの様々な専門的な人材の活用や、地域のボランティアの方々にご支援いただくシステムを構築していくなど、地域とともに学校全体の教育力を向上していくことが重要と認識している。教員の定数については、国において財政制度等審議会から、さらなる合理化を検討すべきとの建議が出され、これに対し文部科学省が反論し、知事会や市町会も反対するなど、今まさに議論がなされている。こうした国の動向も踏まえながら、県教育委員会としても、より望ましい教育環境の整備に取り組んでいけるよう努めてまいりたい。
職員数を減らしてもその結果、「少数精鋭」になるから大丈夫との話をよく耳にする。ある分野においては、そのとおりかもわからない。しかし私が懸念するのは、技術職員の削減だ。県の事業としての農業の振興策の検討、道路・トンネル・橋梁や建築物の長寿命化の推進、森林資源の活用、そして防災対策と災害時の迅速な対応、といった待ったなしの仕事が多くある。
そして、それは市町村も同様で、県内77の市町村のうち多くを占める小規模市町村においても技術職員が不足しており、県の支援を望んでいるところも多いことと思う。市町村と言う行政単位ごとに様々な事業展開をするということが地方自治の原則である。しかし、原則通りにいかないことも現実としてあり、県内のこのような市町村に対する支援も考えて現地機関の行政改革を進めることを審議会で検討していただくことが重要かと思うが如何か。
A(総務部長)今回の現地機関の検討にあたっては、広い県土を有し、比較的小規模な市町村が多いという本県の特徴を踏まえ、効果的な市町村支援ができる組織体制づくりを目指す姿の一つとしている。第1回目の行政機構審議会においても。小規模市町村で技術職員が不足していることについて、委員からも懸念が示された。県が行うべき市町村支援や、そのための現地機関の組織体制について、今後、審議を進めていただきたいと考えている。
6月8日に開催された第1回審議会の資料として、「現地機関の機能・役割等の検討に当っての主な論点(事務局案)」と「総合現地機関の設置状況」が配布されている。資料を拝見していくうちに、長野県でも総合現地機関を作る時期かも知れない、それによって技術職員も無理なく削減されてしまうのでは、と考えてしまう。今まで何度も申し上げてきたが、私は特に技術職員の過度な削減について大きな懸念を持っており、机の上でものを考えるだけでなく、現地を熟知した技術職員が必要と考える。審議会委員の皆さんにこういったこともしっかりと説明し、審議を頂くことを強く要望する。
◎全国都市緑化フェアの県内における開催について
Q 本県は、自然の美しい緑に囲まれているが、街中の緑化は意外と進んでいないように感じている。花や緑は、私たちの生活に潤いを与え、身心を癒してくれるものであり、良好な景観の形成、地球温暖化の防止、生物多様性の確保など様々な機能を併せ持っている。
さて先月、中信地区の4市長から知事に対し、全国都市緑化フェアの中信地区での開催について、要望が行われた。また、同じく長野県造園建設業協会からも知事に対し、同フェアの中信地区での開催と、開催に当たっての具体的な取組についての提案があった。
報道によると、その際、知事は、「都市部の緑化は重要な視点である。」「国との調整や市の取組の支援など協力したい。」あるいは、「地域の思いが強いので前向きに取り組みたい」など、開催に前向きなコメントをされている。
全国都市緑化フェアは、国土交通省が提唱し、昭和58年度から全国各地で毎年開催されており、昨年は、静岡県、今年は、愛知県で開催される。
これまでに本県での開催はないが、県内での開催は、意識高揚により都市の緑化を推進するとともに、長野県の魅力を県内外にアピールする絶好の機会であり、地方創生の観点からも、大変有意義であると考える。50万人から100万人とも言われる全国都市緑化フェアの観光客は、長野県全体にとって大きな経済効果をもたらすものであり、同時に、知事が目指す国際水準の山岳高原リゾートづくりを推進する上でもプラスになると考えるので、県の前向きな取組を大いに期待するところである。
とりわけ中信地区での開催は、御嶽山の噴火災害や神城断層地震で観光産業に大きな打撃を受けた木曽地域や大北地域の復興支援に大きな力となり、意義があると考える。県民の皆さんの賛同も得られると思うが、知事のお考えを伺いたい。また、開催を目指す場合には、その時期はいつ頃なのか、さらには開催の経済的な波及効果を県内全体へどのように広げていくのか、併せて伺いたい。
A(知事)全国都市緑化フェアは国が提唱し、毎年全国各地を回って開催される花と緑の祭典である。長野県、非常に自然環境に恵まれた県ではあるが、少し街なかの緑がいささか寂しい部分が多いと感じている。そいう意味で、この都市緑化フェア、都市の緑化の推進、緑化の担い手育成に資するほか、県のイメージアップ、観光振興、交流人口の拡大等々、様々な経済効果、地域の活性化に資する効果が期待されると考えている。
長野県しあわせ信州創造プランの基本目標「確かな暮らしが営まれる美しい信州」ということなので、そういう意味で都市の緑化は大変重要な視点であると思う。ご提案の中信地区での開催ということだが、中信地区には松本平広域公園をはじめとして、この都市緑化フェアを開催するのに適した都市公園がある。また、市町村の公園と連携した展開が期待でき、相次いだ災害からの復興の弾みにもなり得るものと考えている。また、地元の中信4市長からも要請されており、大変強い意思、意欲をお持ちと思っている。このフェア開催に向けた中信4市の市長、関係者の皆様方の強い意思、熱意を重く受け止めており、中信地区におけるこの全国都市緑化フェアの開催を国に働きかけていきたい。
このフェア開催については、今後国との調整が必要であり、まず長野県で開催することを決めていただく、時期についても調整しなければいけないが、承知している範囲では、平成29年度までは開催地がほぼ内定していると認識している。準備期間も一定程度必要で、平成30年代の早い時期を目指していくことが適当ではないかと考えている。また、このフェアの効果を全県に波及させるためには、県内の様々なイベントとの連携が必要だと思う。これまでの、過去開催した地域でも色々と工夫を凝らしており、市町村の日の設定で市町村ごとのイベント開催や、県民参加型のイベントの公募など、多くの県民が協力できるよう工夫されているようだ。こうしたことも十分に参考にしながら、市町村をはじめ関係者と力をあわせしっかりと取組んでいく。
本年は善光寺御開帳もあり、全国から大勢の観光客が信州を訪れた。来年は諏訪大社の御柱、そして全国植樹祭・林業後継者大会も本県で開催される。
また、第1回「山の日」全国大会が松本市上高地で開催されるなど、今後とも県におかれては、全国規模のイベント等を積極的に誘致して観光や産業振興を図っていただくようお願い申し上げ、質問を終わる。