2012年12月5日

長野県知事
阿部守一様

長野県議会 県政ながの

平成25年度
長野県当初予算に対する要望書

前略
昨日より総選挙がスタートし、目下国の舵取りをどの政権に託すのか国民の選択が注目されます。国の基盤が地方にあることを考えれば、長野県に軸足を置く私ども会派は、変らぬ長野県の発展を一義として対応して参りたく、以下平成25年度の当初予算の編成にあたり要望を申し入れます。知事及び関係各位におかれましては、格段のご配慮を頂きますようお願い申し上げます。
長野県の経済状況は一層厳しさを増しており、商工観光業、農林業はじめ各種産業の経営は、世界的な経済や政治圧力の波の中で、辛抱づよく努力を重ねています。このような現状を真摯に受け止め、知事の下に策定されております時期中期総合計画をはじめとする各種計画について、広くアンテナを掲げ長野県の潜在力を最大限発揮できるよう夢と方向性を示すとともに、中期総合計画の初年度にあたり財政的には慎重に、かつ、県民生活の安全、安定と県内経済の発展に向けて効果的な県政を運営されますよう要望致します。

 

県政ながの 25年度当初予算 知事要望(項目)

【総務・企画部】

  • 新たな中期総合計画において将来を見据えた計画は、スピードをもって着実に実行できるよう努められたい。
  •  県立四年制大学の設置については、様々な意見を踏まえて人材育成の機関としての成果を生むべく取組むこと。
  •  交通政策は、長野以北の長野新幹線延伸やリニア中央新幹線の長野県内駅設置など将来構想を中心として、広い県土における並行在来線、高速道路、松本空港などとのアクセスの整備に積極的に取り組むこと。
  • 松本空港の利用促進のため、県として更なる取組みをされたい。
  • 行財政改革の推進について、行財政改革の着実な実施とともに、県民サービスの低下にならぬよう県民要望の強い事業の実施に向けた財源確保に取り組むこと。
  • 県有地の有効活用と無駄を省き財源確保の充実を図られたい
  • 地方の活性化は国の発展につながることから、地方の声を的確に政策に反映させるために、地方分権、税源移譲を国に積極的に働きかけること
  • 地域戦略会議を充実し、「地域発元気づくり支援金」の活用の柔軟性を図り本年度予算と同額以上を確保する事
  • 長野県北部地震の被災地に対する支援体制を強化し、早急な復興をはかること

【健康福祉】

  •  現在策定中の保健医療関連の計画において健康長寿の延伸の視点を反映させること
  •  医師、看護師確保の更なる取り組みと、地域医療の充実をはかること
  •  地域医療の現場を担う医師の偏在解消を図るため、総合医の養成に取り組むこと
  •  障害者および発達障害者が地域において自立した生活を送れるようにするため、自立支援、就労支援の取り組みを一層推進すべきこと
  •  「障害のある人も無い人も共に生きる社会を目指す研究会」がまとめた報告書の具体化を図るとともに、県民の障害に対する理解を促進する取り組みを強化すること
  •  高齢者が住み慣れた地域で自立生活できるよう、介護保険制度の確実な運営や医療、介護、生活支援サービスが連携して高齢者を支える地域包括ケア体制の構築をはかること
  •  地域の要望をふまえ、高齢者施設の整備を促進すること
  •  平成24年度までの暫定措置として延長されている妊婦健康診査支援基金について、25年度以降においても引き続き財源措置が講じられるよう国に要望すること

【環境】

  • 長野県の特徴を生かした太陽光、小水力発電など自然エネルギーの普及拡大に向け、県のモデル事業の着実な推進と民間組織や県民の取り組みに対して積極的支援を行うこと
  • 地球温暖化の防止に向けて温室効果ガスの排出削減が着実に進むよう、効果的な施策の展開を図ること
  •  県民の放射能、原子力に関する理解を深め、的確な判断ができるよう学習機会を提供すること(教育委員会と共同して)
  •  高山への鳥獣被害が拡大しており、希少な動植物の減少が認められることから、環境省への働きかけを強めるよう要請する
  • 長野県特有の希少動植物の保護策を国の協力を求めながら進めること
  • 上流に位置し、水環境の保全県として、その象徴である諏訪湖、野尻湖など、湖沼の水質保全、改善を着実にすすめ成果を見えるようにすること
  • 長野県の豊かな水を将来に亘って享受するため、水源地域における土地取引の事前届け出制など実効性のある対策を講じること

【商工・労働】

  • 国の進めている農商工連携を基本に、長野県独自の業種をこえたワークシェアリング的な雇用モデルへの推進を行うこと
  • 厳しい雇用情勢の中、新卒者や失業者に対する雇用対策をより一層充実させること
  • ニート、フリーターなど若者の職業的自立を支えるパーソナルサポートモデル事業の充実を図ること
  • 県内産業振興のための人材育成のため、工科短期大学校の上伊那地域への設置を積極的に推進すること
  • 技能五輪・アビリンピックの実績を踏まえ、真の目的である技術者の養成、育成施策を継続的に充実すること
  • 諏訪圏工業メッセは県内外の企業の参加が進み、海外取引への展開も見せていることから全県の工業振興の核と位置づけて発展するよう確実な支援を継続すること
  • 企業、製品、サービスの国際展開が進む中、中小企業の国際競争力を支援するため、国際標準の情報提供、知的財産権の有効活用、海外企業との提携へのサポートなどを充実すること
  • 県の海外事務所の具体的事業、サービス内容を周知して、利用者へ十分に対応すること
  • 国内外の需要を取り込んで、地域の雇用を守ること
  • 長野県の企業群が有している産業的特性を、国際競争において発揮できるよう、個々の企業の要請に産学官連携支援で対応できるよう体制を整えること
  • 中小企業金融円滑化法の終了による影響を緩和する為の対策を講じること

【観光】

  • 新たに策定する「観光振興基本計画」を踏まえ、「観光地域づくり」「観光と他産業との連携」「広域観光の推進」など地域経済に貢献する観光振興施策を展開すること
  • 信州ブランドを確立し、県内外へ効果的に発信していくこと
  • 北陸新幹線金沢延伸を踏まえ、首都圏や北陸地域からの誘客促進に努めること
  • 伝統的な食文化、日本酒・ワイン、ジビエなど長野県ならではの食の魅力向上につとめること
  • 移住・交流人口の増加を図るため、市町村と連携した情報発信と相談、受け入れ体勢を充実すること
  •  ニーズを踏まえた旅行商品の造成など外国人旅行者の積極的な誘致に取り組むこと

【農政】

  •  TPP、FTA等の動向を踏まえ、海外展開を視野に、量的競争力の強化策よりも質的競争力を向上させる目的で、県内産農産物及び二次産品の市場競争力強化に取り組むこと
  • 有害鳥獣被害対策の支援を引き続き拡充(充実)すること
  • 青年新規就農者が定着できるような持続可能な農業政策の展開を更に充実すること
  • 農業における自然エネルギー活用モデルについて、その実効性があがるように引き続き支援すること
  • 新しい「長野県食と農業農村振興計画」の初年度にあたり、目標に向かって着実に進捗するよう十分な予算を確保すること
  • 長野県のもっている農業技術、知的財産の一層の有効活用を図ること
  • 各種農業施設の長寿命化を図ること

【林務】

  • 野生有害鳥獣対策について、広域協力により効率的な捕獲、駆除ができるよう被害対策支援を充実するとともに、県内の希少な動植物への被害防止のため、環境省など関係省庁へも継続して働きかけること。また、狩猟者の技術向上に必要な研修会の開催や地域の射撃場の整備につき、県として支援をすること
  • 豊富な森林資源を利用する県産材の大型加工施設と端材、未利用材を利用した木質バイオマス発電施設整備の計画が進む中で、県として必要な材が安定して供給される体制整備を図るとともに、原木の適切な利用のバランスが崩れないよう注意深く進捗を図ること
  • 深刻な被害が続いている松くい虫について、被害先端地域の対策を確実に行い、被害の鎮静化と未被害地域への拡大防止のため、被害対策予算の拡充を図ること
  • 県産材の有効活用と次代につながる利用促進のための施策を充実すること
  • 林業の将来を見据え、林道・路網整備、治山治水対策を進められたい
  • 今後の林業の発展を支えるため、林業総合センターの施設、及び人材の充実をはかること

【建設】

  • 防災、緊急輸送路など災害対応の観点から砂防、河川、道路、橋梁などの整備を早期にすすめること
  • 社会基盤に係る修繕、補強、維持管理の要請が多く、これに応えるため維持費の充実をはかること
  • 特定の業者に受注が偏らないよう、また、地域貢献する業者を育成するよう、入札制度の改革を引き続きすすめること
  • 住宅、公共施設等の耐震補強を効果的に進める施策を充実すること
  •  ゲリラ豪雪に対応できるような緊急除雪体制を強化すること

【危機管理】

  • 原子力発電所事故への対応について、国の防災対策の見直し等を踏まえて、長野県として必要な対策を地域防災計画に位置付けるとともに、県民に正しく理解してもらうための啓発、訓練などの充実を盛り込むこと
  • 地域の前線にて一次対応を任せられる消防団、消防団員のモチベーションをあげられる施策を充実すること
  • 近年みられる、想定されていなかった場所での地震に対応するとともに、内閣府が発表した南海トラフ巨大地震の被害想定に対応するため、策定から10年経過している現行の「長野県地震対策基礎調査」について早急に見直しをはかること

【企業局】

  • 新規発電所の建設、市町村等における小水力発電への支援等、長野県の自然エネルギー施策の推進に積極的な役割を果たすこと

【警察本部】

  • 高齢者による交通事故が多発していることから、関係諸団体と連携して啓発活動を徹底するとともに、交通事故対策施策として信号機など安全施設整備を図り交通事故の減少に努めること。
  • 老朽化した交番、駐在所など地域の安全を図る上でも必要なことであるから早期に改築を図ること。

【教育委員会】

  • 学力と体力と道徳力の向上を目指して、子供達にも解りやすい授業内容となるよう工夫し、教師の指導力を向上する研修に更に取り組むこと
  • 中高一貫教育を更に進め、個性や創造性を伸ばす教育の充実をはかること。
  • 地域と家庭と学校とが協力しあい学校運営をし、地域連携を積極的にし、生徒の学校及び家庭の生活を支援すること
  • 職業高校の整備、機器などについては変化する時代の要請に合ったものづくりの担い手の養成にあう整備を行うこと
  • 発達障害児の就学相談体制を確立すること
  • いじめ、不登校問題等を的確に把握し、現場教員の対応力の研さん、向上を支援すること
  • 市町村や各部と連携して冬期の体力向上とスポーツ振興のため、冬季国体を積極的に誘致すること
  • 学校、家庭の連携を図りつつ、礼儀、礼節を重んじる道徳教育と日本文化の伝統であり、恥を重んじる武道教育を推進すること

以上